蒼き星の思い出。
新大陸に来ている仲間達には、様々な人種がいる。
それぞれが、それぞれの想いを持って、この大陸にやってきているのだ。
5期団で飲み会をした時のことだ。
ハポン出身のエリカと話しているときのエピソードを1つ紹介しようと思う。
今では信じられないかもしれないが、私は学生時代、包丁も握らせてもらえなかった。習い事も数多くやっていたし、門限も早かった。
私の家はお金持ちの部類に入る。
執事が身の回りのことをやってくれていたので、自分で部屋を掃除しなくても部屋は綺麗だったし、朝起きれば、その日着る服のコーディネートをせずとも用意されていた。
自分では何もしてこなかった人生。
そんな自分を変えたかった。
そんなとき、大型モンスターに我が家がある街が襲撃された。その地域では目撃されていないような新種のモンスターで、街のハンター達では太刀打ちできず、街は壊滅してしまった。
幸い、両親や住み込みで働いてくれていた執事やメイド達は皆無事だった。
新種のモンスターを調査することは、この先、人類が生きて行くのに必須だと感じた。
大切な人を守りたい。何も出来ない自分を変えたい。そんな2つの想いが私を5期団に志願させたのだ。
エリカは私の話をうんうんと頷きながら聞いていた。
そして、そんな両親から大切に育てられた娘のことを、ハポンでは〝箱入り娘〟と呼ぶのだと教えてくれた。
エリカと話したことで、両親を思い出した。
明日は手紙でも書いてみようか。
一緒に頑張っている沢山の仲間が出来たこと、その仲間から、箱入り娘という言葉を教えてもらったこと、包丁どころか、大きな剣を振り回してモンスターを狩猟していること、両親がさせてくれた数多くの習いごとが今生きていること、部屋の掃除もちゃんと自分でしていること、服のコーディネートだって自分でしているんだ。
そんな内容に写真を1枚添えて。
箱入り娘。