さよならだけどさよならじゃない
【ふじまるGTの個人日誌41】
「なぁシーフードくん。俺、言っときてーことがあるんだ。俺、この戦いが終わったらさ」
「おーい!おいおいおい!やめとけ。言うな!絶対言うな!死ぬぞ。いいからとにかくクイーンぶん殴れ。それ以外のこと考えるな」
「言っとかないと気が済まないよ。俺さ」
「いいって!死ぬって!ぶん殴れって!」
「ぶん殴ってやりてーのにクイーン空飛びすぎなんだよ。撃ち落としてくれよ」
「やってるよ。落ちてこないんだよ」
「ちくしょう。きたねぇ奴だな」
「あれ、俺ら以外にもクイーンに撃ってるやついないか?」
「おい!あれ!」
「ボルト76のみんな!」
「生きてたのかよ。俺たちを置き去りにしてボルト出て行った恨みここで晴らして‥‥」
「やめろよ。いいよ。クイーン倒すのが優先だろ」
「くっそー。仕方ねぇ。あ。落ちてきたぞ。よっしゃーハンマーでぶんなぐってやらぁ!」
「あ。飛んだ」
「殴れねー!なんとかなんねぇのか」
「う〜ん。ちょっとこれ試してみるかな」
「ん?あ。また落ちてきた」
「この銃で凍らせて動けなくさせるわ」
「おぉ!効いてる!効いてるぞ!すげぇ!インテリジェンス3のやつが考えた作戦とは思えねぇ。ん?え?3?なぁ?おめーホントにインテリジェンス3かぁ?怪しいな。なぁ。3じゃねぇだろ?おい。4なんじゃねぇのか?おい。おめーインテリジェンス4だろ。なぁ?3じゃねぇよな?」
「うるせー!どっちもたいしてかわんねぇだろ。いいからハンマーでぶん殴れよ。チャンスだろ!」
「おいおい。インテリジェンス4のやつは言うことがちげーな。まさか4とはなぁ。3だと思ってたのにちゃっかり4だもんなぁ。インテリジェンス4はすげぇよなぁ」
「早く殴れって!」
「はいはい。殴りますよ。インテリジェンス4の人には逆らえませんからね」
「殴ろうとしてないじゃん!5だよ!インテリジェンス5!」
「え?」
「インテリジェンス5だよ」
「え?」
「聞こえてんだろ」
「天才じゃねぇかよ」
「殴れって!」
「天才じゃねぇか‥‥」
「ハンマー落として膝から崩れなくていいから!早く倒してくれ!」
ギャウウウウン!!
「あ。死んだ。ボルト76の皆さんがやってくれたわ」
「こんなんでいいのかよ」
【ふじまるGTの個人日誌 最終回】
「というわけでなんとかなりました」
「とりあえずスコーチの脅威は去ったけど、世界は平和になりました。ってわけではないよなぁ」
「監督官も生きてるってわかったしなぁ。そうだなぁ。ワシントンの方にでも行ってみようかなぁ。同じように苦しんでる人達いると思うし、救っちゃうかな。シーフードくんは?」
「良かったよ。もう俺は必要ないな」
「なんだよ。これからもスコーチの残党狩りまくろうぜ」
「俺はここまでだ」
「なんだよ。行きたいとこがあるなら俺、ついて行くぜ?」
「俺はお前が作り出した幻覚だよ」
「え?」
「1人で押しつぶされそうになったお前が作り出した、その時、その時の理想の幻覚。ハンマー使いのお前が憧れたガンナー。思い出してみろよ。俺の姿いつも一緒だったか?」
「あっ。だんだん痩せていってた。顔も違ってた」
「理解したようだな。お前が作り出した都合のいい幻覚なんだよ。俺は」
「そうか‥‥。そうだったのか。でも、でもよ。ならそれを理解した上で幻覚でもなんでもいいよ。み続ければいいだけじゃないか!」
「自分がよくわかってるんだろう。クイーンを倒して自信がついて、俺が必要なくなったこと。もう消えるしかないんだよ俺は」
「シーフードくん‥‥」
「よし。お別れだ。背中合わせに歩いて行こう。俺はこっちお前はあっちだ。振り返るなよ。振り返ってももう俺は消えてるぜ?」
「今までありがとな」
「そんじゃ」
「さよなら」
「さよなら」
ザッザッザッザッ
ザッザッザッザッ
「ありがとなシーフードくん」
クルッ。
「いや、消えてねーじゃん!!」
THE END