「花束みたいな恋をした」は2021年No.1映画になる可能性あります。
こんにちは。
花束みたいな恋をした
すげーよかった。
ふじまるGTです。
CMがあの感じなんで、はいはい。どうせあれでしょ。売れてる俳優と売れてる女優が付き合って、どっちか難病で死ぬいつものやつでしょ。って思ってたんですよね。
CM詐欺です。
むしろそう思ってるやつほど見たほうがいいかも。
内容は和製ララランド、和製500日のサマーといったような感じです。
私500日のサマー好きなんですよ。
はじめて見たとき衝撃うけました。
映画とかドラマって、運命の出会いがあって大恋愛してハッピーエンド。もしくは悲劇の別れ。みたいな感じじゃないですか。
500日のサマーは、そうでありたいと思う主人公がサマーに出会って大恋愛がはじまった。まるで恋愛映画の主人公になった。って気持ちになって素晴らしい日々の始まり。って思って、でもそうじゃなくてただ男と女が恋愛して別れて、また新しい恋が始まっていく。って話なんですよ。
普通の恋を映画にした!
って思ったんです。
その感じ。
だからもしかしたら、そういう大恋愛キラキラ映画が見たい人にはちょっと物足りないかもしれない。
男と女が出会って別れる話。
その見せ方がうますぎた。
CMでもやってるように、別れた後から始まるんですけど、どう出会って、別れていくかを描いた映画です。
ネタバレも込みますので映画見てから見てください。
まず2020年から始まって、2015年に戻ります。
イラストレーターで食っていきたいサブカル男子の麦くんとサブカル女子の絹ちゃんが出会います。
麦くんと絹ちゃんのサブカル好きな感じがピッタリはまって付き合うことになるんですけど、
お互いのスマホにお互いを映して告白した時にピントが合って、そこから交際が始まるって演出が良すぎる。
そして、お笑い芸人から、作家から、漫画から、実際の固有名詞がバンバン出てきます。
2人が意気投合するきっかけになる押井守監督がたまたま入ったバーにいた。ってのなんて押井守本人だしね。
で、ここで重要なのが、本当にあるものをちゃんと出すってことです。劇中の中だけで語られるその世界で流行っているとされるであろう謎の作品とかではぐっと引き込まれることはないでしょう。
これだけ固有名詞並べるって、許可とるの大変だったろうなぁ。とか思いますよ。ストレンジャーシングスとか、ゼルダとかパズドラとか本当の映像使ってたしね。
2015年から2020年を陰キャ寄りで過ごしてきたやつにほど刺さりまくってしまうかもしれない。
信号変わる前に初めてキスする時の、信号変わらなくて長めにキスできて、押しボタン式だった。サンキュー押しボタン式信号。とか、セックスしまくったあとにパンケーキ食ってる時の、セックスしたあとなんだけどね。みたいなシーンとか、坂元裕二脚本やべぇな。って思いました。
おっさんのくせになんでこんな若者に寄った脚本書けるんだよ。すごいぜ!
で、イラストレーターとして食ってくのがキツくなってきて、夢を諦めて就職する麦くんと、一旦は就職したもののサブカル諦めきれなくて、脱出ゲームとか運営してるサブカル寄りの会社に再就職する絹ちゃんがだんだんすれ違っていくわけですけど、まぁどっちの気持ちもわかりますよね。お金ないと生きていけないし、とはいえ楽しく生きて行きたいし。夢と現実の折り合いの付け方っつーかね。
この映画のすげーところはね。
イヤホンから始まってイヤホンに終わるとこなんですよ。
イヤホン半分こにして曲きいてるカップル見て、イヤホンってのはLとRで違う音が流れてんの。2人は同じ曲を聴いてるようで違う曲を聴いてるんだよ。ってところから始まるんです。
イヤホンのコードってすぐ絡みますよね。って話で意気投合したり、クリスマスのプレゼント交換で、お互い同じイヤホン買ってきちゃってたりと、イヤホンが2人の世界をつなげていくんです。
それがすれ違い始めてきたら、こっち気にせずゲーム大きい音でやっていいよ。って言ってイヤホンして別々に過ごしたりとお互いを隔てるアイテムにかわってしまうんですよ。
にくい演出よ。
でも、別れた後も麦くんはもらったイヤホン使ってるしさぁ。
最初のLとRで違う音が流れるうんぬんのうんちくは2人が付き合う時にファミレスでいきなり話しかけられて聞いたうんちくで、別れた後もちゃんと過ごした時間が自分に良いものとして根付いてる感じがいいんですよ。
別れたら終わり。じゃなくて、今の自分を構成してるものにしっかりあの時間はあるって感じがさぁ。たまんないね。
別れ話する時も、付き合う時に座ったあの席は誰かに座られてて別な席案内されてさ。
ドラマチックにならない、世界の主人公になれないって感じとかね。
別れ話するって決めたのに、やっぱり結婚しようよ。ってなるとこで僕はね。泣きましたよ。
最近はもう涙腺ガバガバなんですぐ泣いちゃうんですけど、ここはもう一瞬よ。
自分たち1人1人に当てはめていけば、ここで結婚を選ぶ人もいるでしょう。
なんかそういう選択をするシーンも多くて、あの居酒屋で絹ちゃんのこと追いかけなくてもたぶん卯内さんと付き合ってたと思う。その後別れたかもしれないし、結婚までしたかもしれない。そういう未来もあった。
色んな選択を日々して今の自分があって、でも時間や仕事とかで選択肢がどんどん狭められていく感じが現実で、俺の感情はもうどっちにも移入してて頭から離れないんですよ。
花の名前教えないとことか、最後やっぱり別れない選択しようとしたとことか、男のほうが女々しいところがララランドっぽかったです。
だからどっちかというと麦くん寄りでは感情移入してましたけどね。
ララランド見た時は、女ぁー!おいー。ってなりました。
最後の終わり方が秀逸すぎて、このせいで見終わった後の余韻が半端ないくらい残るんですけどね。
別れたあと、3ヶ月はまだ一緒に暮らしてるんですよ。そこがお互いさっぱりしてて付き合ってる時はもはや別々にご飯食ってたのに、一緒に食ってたりとか、会話弾んでたりして胸が締め付けられちゃうんですよ。
別れなくていいじゃん。別れなくていいじゃん。って、でも別れる決断したからこの状態になったわけだし、んー!もう。うわー!って。
見た人ならわかるでしょこの気持ちは。
タイトルがいいですよね。
花束って最初がマックスでだんだん枯れていきますからね。
最後に。
パンフレットは絶対買ってください。
麦くんのスケッチブックがイメージされてるオシャレさと、中身読み応えばっちりの内容です。なにより手が込んでるなー。と思ったのは、2人を繋ぐきっかけになった天竺鼠のチケットが挟まってます。すげー。
喧嘩しちゃった舞台のチラシもはさまってて驚きです。
パンフの手の込み具合含めて、今年No.1で終わりかねない良い映画見させていただきました。
全シーン語りたいとこなんですけど長くなるのでおわります。